【コンプレックス】
この言葉を聞くと、容姿・学歴・地位・収入・身長などの自分と誰かを比べた時に感じる『劣等感』を表す意味として認識しているという方が多いのではないでしょうか。
日本では、コンプレックスという言葉を多くの人が劣等感という意味で使用しています。
しかし、本来の意味は【コンプレックス=劣等感】ではないということをあなたは知っていましたか?
コンプレックスが劣等感という意味であるならば、マザーコンプレックス(マザコン)やファザーコンプレックス(ファザコン)は母親や父親に対しての劣等感という風に捉えるべきでしょうが、そうではないですよね。
ここで結論を言ってしまえば、日本で使われている意味のコンプレックスは、数あるコンプレックスの中の一つなのです。
この記事を読むことで、あなたはコンプレックスの語源や本当の意味、そして色々なコンプレックスの種類について理解できることでしょう。
コンプレックスという言葉の歴史を知る
では、コンプレックスという言葉はいったいどこの誰が言い始めたのでしょうか。
コンプレックスという言葉を最初に持ち込んだのはヨーゼフ・ブロイラーというオーストリアの学者であり内科・精神科医でもあった人だと言われています。
ただ、言葉自体はこのヨーゼフが持ち込んだものの、コンプレックスという言葉を有名にした人物が他にいて、その人はスイスの心理学者であり精神科医でもあったカール・グスタフ・ユングという人です。
ユングによればコンプレックスとは、『何らかの感情によって統合されている心的内容の集まりである。』ある事柄と、本来無関係な感情とが結合された状態であり、これを「心的複合体」とも訳すそうです。
なんだか難しいですね。
では、コンプレックスの語源はというと…
上記にあるように、劣等感とは一言も書かれていないことがわかると思います。
コンプレックスにはたくさんの種類がある
冒頭でも触れましたが、日本で劣等感として使われているコンプレックスは、数多くあるコンプレックス中の一つで、このコンプレックスは『インフェリオリティコンプレックス』と言います。
それでは、他にどんなコンプレックスの種類があるか見ていきましょう。
マザーコンプレックス(マザコン)
母親に対して青年が強い愛着や執着を持つ状態のこと。
※この言葉は和製英語で、マザコンの青年のことを英語では『mama’s boy』と言う。
ファザーコンプレックス(ファザコン)
子どもが父親に対して強い愛着や執着を持つ状態のこと。
※この言葉も和製英語です。
ブラザーコンプレックス・シスターコンプレックス
兄弟、姉妹に対して強い愛着や執着を持つ状態のこと。
エディプスコンプレックス
母親を手に入れようと思い、また父親に対して強い対抗心を抱く状態のこと。
男児のケースと女児のケースがある。
ロリータコンプレックス
幼女・少女への恋愛感情のこと。または、恋愛感情を持つ者を指す。
正太郎コンプレックス(ショタコン)
少年や小さい男の子に対して強い愛着や執着を持つ状態のこと。
※造語です。
イオカステーコンプレックス
母親が息子に対して抱く愛着(性的欲求を含む)。
※エディプスコンプレックスと類似した概念。
エレクトラコンプレックス
娘が母親に抱く対抗心。
※女児のエディプスコンプレックスを指します。
カインコンプレックス
兄弟姉妹間で起こる親の愛をめぐっての葛藤。
オレステスコンプレックス
父親の掟と母親の呪縛に苦しめられる息子の心理を表す。
二次元コンプレックス
アニメ・漫画・ゲームなど二次元キャラクターに対してのみ恋愛感情や性的感情を持つ状態のこと。
※『二次コン』と略され、英語でも『Nijikon』と呼ばれる。
ピグマリオンコンプレックス
心のない人形に対し、愛着を持つ状態のこと。
※より広い意味では女性を人形のように扱うという性癖もこれに含まれます。
アブラハムコンプレックス
子どもの精神的分離に伴って起こる父親への対抗的心理(憎悪とも表される)。
アグリッピーナコンプレックス
母親の密着に対する息子の嫌悪を指す。
※男児の精神崩壊の際に働くとされています。
ダフネコンプレックス
処女の男性恐怖を表す。
※語源はギリシャ神話の逸話。
メサイアコンプレックス
個人が救済者になると運命づけられているという信念を抱く心の状態を示す。(強迫的に人を援助するという心理)
※キリストコンプレックスまたはメシアコンプレックス、救世主妄想とも呼ばれています。
カメリアコンプレックス
不幸な女性を見ると、つい救ってあげたくなるという男性の心理状態を指す。
ユディットコンプレックス
強い男に身を任せたいという強い願望を持つが、支配はされたくないという精神状態を指す。
※女性に用いられる用語です。
ダイアナコンプレックス
男性でありたいという女性の抑圧された男根羨望を指す。
※男性になりたいということではなく、男性には負けたくないという感情を表します。
スペクタキュラコンプレックス
男女の性欲がそれぞれの行動を規律するという心理のこと。
フランケンシュタイン・コンプレックス
創造主(アブラハムの宗教の神)に代わって、人造人間やロボットといった被造物(生命)を創造することへのあこがれ。そして、被造物によって人間が滅ぼされるのではないかという恐れが入り混じった複雑な感情や心理。
容姿コンプレックス
自身の体や顔への嫌悪。
身体醜形障害や醜形恐怖症といった精神的な疾患になってしまうこともあります。
身体醜形障害及び醜形恐怖症 他人からはそんなことはないのに、本人は自分の体形が醜く劣っていると思い込み、周囲に不快感を与えてしまっていたり、他人から軽蔑されていると思い込んでしまうという病的な悩み。 ※自殺者は整形経験者のなんと45倍と極めて高い。
白人コンプレックス
有色人種が白色人種に対して抱く審美観。欧米白人の容姿やライフスタイルに憧れと、自らの人種や自分の容姿に対する劣等感を指す。
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軽く調べるだけで、これだけのコンプレックスがあるのです。
どのコンプレックスにも、本来の意味である『複雑な』感情というものが入っていることがお分かりいただけたでしょうか?
ですから、コンプレックスは劣等感という意味ではないということが改めて確認できることでしょう。
まとめ
いかがでしたか?
日本で使われているコンプレックスはイコール『劣等感』というイメージが強いですが、本来の意味はそうではありません。
劣等感を指すコンプレックスのことを『インフェリオリティコンプレックス』ということを覚えておきましょう。
そして、コンプレックスにはたくさんの種類があり、そのどれもが『複雑な』感情から起こっているもの。
それは、コンプレックスが持つ本来の意味は『複雑な』『入り組んだ』『集合体』というという意味の形容詞又は名詞であるからです。
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